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Carpe diem

映画覚書用ブログだったはずが最近ラップバトル動画覚書用ブログに

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【BBC】WW1の指導者達によるラップバトル



2014年に第一次世界大戦100周年を迎えてBBCで企画されたショートフィルムの一つ。
第一次大戦の要の人物達がEpic rap battles styleで、口頭で世界大戦の事の起こりを語っていく、という構想で企画されたそうで、ERBの波がイギリスにも届いているようです。(そしてまさかのBBCが制作とは…)
サライェヴォ事件を発端として大戦の口火が切られるわけですが、この動画では各国の重要人物がかなりキャラ立ちしていて(ドイツ皇帝のヴィルヘルム二世がERBのヒトラーと重なる…)、面白いです。
ニコライ二世、ヴィルヘルム二世、ジョージ五世の関係に要注目。
解説はGeniusなどにお世話になりました。適当書いてたらすみません。


June 28th,1914
Serbian student Gavrilo Princip just shot…
…the nephew of emperor Franz Josef of Austro-Hungary

1914年6月28日
セルビアの学徒ガヴリロ・プリンツィプが発砲した
…オーストリア・ハンガリー帝国皇帝フランツ・ヨーゼフの甥に

[Verse 1: Gavrilo Princip]
Yo, your fatty Franz Ferdinand didn't see Princip's pistol
Too busy guzzling his tenth wiener schnitzel
Popped a cap in his ass for my Black Hand brothers
Shave off that 'tache, it's bigger than your mother's!
Now just like your bald head you ain't got no heir
I spit rhyme as your empire decline
Have you any notion of united Slav nation?
You catch my drift or do you want a translation?
Serbia got friends, yo! Russia's our homie
Think we're scared? Here's two words for you:
Blow me!

(プリンツィプ)
よう、お前の太っちょフランツ・フェルディナンドは俺の拳銃に気づくことは無かったぞ
がっつくのに忙しかったってわけさ、10枚目のシュニッツェルにな
あいつの尻に撃ってやったぞ、我が黒手組のために
その口髭を剃れよ、お前のママよりでかいそれな!
今やお前の坊主頭と同じわけだ、後継者(heir)不在と言うわけ
韻をかましてやるよ、お前の帝国の規律のようにな
スラヴ国家への統合について考えたことがあるか?
意味分かるか、通訳が必要か?
セルビアは友を得たぞ、ロシアが俺らのダチなんだよ!
俺らが怖がってると思うか?お前に言うのはただ二言だ
くたばりやがれ!

(単一民族による国民国家と言う概念が育ったヨーロッパの近代において、バルカン半島はスラヴ系、オスマン・トルコ系、ゲルマン系などの複数の民族が混在した国家が乱立し、民族紛争の火種を抱え、ヨーロッパの火薬庫と呼ばれていた、というのは世界史の常套句ですね。
バルカン半島の国家の一つ、当時オーストリア・ハンガリー帝国に支配されていたボスニア出身のガブリロ・プリンツィプは汎スラヴ主義者であり、ボスニアのセルビア(スラヴ系国家)への併合を目論んでいた秘密組織、黒手組の一員であった人物でした。
この人物がボスニアの首都、サライェヴォに視察に来ていた、オーストリア・ハンガリー帝国皇帝の甥夫婦を射殺したことにより、各国家がセルビアを巡って支援、反発する形で第一次世界大戦の口火を切ることになります。ボスニアの支配を巡る汎スラヴ主義(セルビア)vs汎ゲルマン主義(オーストリア・ハンガリー帝国)ととらえたら分かりやすいのかも。)


[Verse 2: Franz Josef]
You want a war, Gav? We bring the pain, Slav
Blood spilt in Sarajevo gonna cause a blood bath, yo!
Russians, Mongols, Turks, my bitches
Best watch out 'cos my trigger finger itches
You're tiresome, you're irksome
Like a Slavic Jeremy Clarkson

(フランツ・ヨーゼフ〔オーストリア・ハンガリー帝国皇帝〕)
戦争がしたいのかガヴ?我々は手を焼かされるな、スラヴには
血統が裂かれるぞ、サライェヴォで 血の海ってわけだ!
ロシア人、モンゴル人、トルコ人、皆我が婢女だ
気を付けたまえ、引き金に掛けた指がむずがゆいのだ
君は厄介で面倒だ
スラヴ人のジェレミー・クラークソンのように!

(射殺されたフランツ・フェルディナンドの叔父、オーストリア・ハンガリー帝国皇帝のフランツ・ヨーゼフ。ちなみにこれを演じている方がこの歌詞を書かれたようです。ERBとまた違った赴きで、二つのラインに渡って韻がかなり明瞭な形で揃えられている様な気がする。
バルカン半島のスラヴ系、トルコ系、タタール系の民族はゲルマン民族(オーストリア・ハンガリー帝国)が支配するものだと述べ喧嘩を買っています。ジェレミー・クラークソンは現在BBCの番組で活躍するスラヴ系ジャーナリストです。)


[Gavrilo Princip]
Huh? Who the hell is that?

(プリンツィプ)
はあ?誰だそりゃ?

(勿論その人物をプリンツィプが知ってるはずがありません。)

[King George V]
Nothing to do with us

(ジョージ5世〔大英帝国国王〕)
我々には関係ないぞ

(だからこの人もこう言ってます)

[Verse 3: Franz Josef]
Back to the story, the story of doom
For poor tiny Serbia's about to go boom!
You hear me, assassin? Our troops are massin'
Get ready for the bombing, the shootin', the gassin'
Here is the deal yo! Shit just got real yo!
You'll be crushed under Austro-Hungary's heel yo!
I'll kick you in the Balkans and degrade Belgrade
Even if those Russians are rushin' to your aid

(フランツ・ヨーゼフ)
話を戻そう、恐ろしい話に
哀れな小さなセルビアを粉砕する為に!
聞いているか、アサシン?我らが軍隊が集結しているのだ
準備中なのだよ、爆破、銃撃、毒ガス発射に向けてね
よう、どうだこういうのは!大変なことになったな!
君は踏みつぶされるのだ、オーストリア・ハンガリー帝国のかかとにな!
お前のバルカン半島を蹴りあげて、ベルグラードに落としてやるぞ
たとえロシアが君の援けに駆けこんだとしてもな

(爆破、銃撃、毒ガスと言った科学技術を駆使した新兵器が登用されたのも第一次世界大戦からでした。オーストリア・ハンガリー帝国のかかととはおそらくセルビアのことを言っているのだと思います。I'll kick you in the Balkansをどう訳すのか迷いましたがgeniusによればBalkanが急所のballとの言葉遊びになっているらしく「お前のバルカン半島」ということで。ベルグラードはセルビアの首都です。)

[Tsar Nicholas II]
You think so?

(ニコライ二世〔ロシア帝国皇帝〕)
そう考えるわけだな?

[Franz Josef]
Oh crap!

(フランツ・ヨーゼフ)
すわ、まじか!

[Verse 4: Tsar Nicholas II]
Back up Franz Josef, Serbia's our brethren
Same blood, same religion, same Slavic complexion
We're packing more army than you got salami
So stop your bragging, your trolling
Or the Cossack pain train starts rolling
Last time you kicked off I sweat revolution
This time my solution is your dissolution
Beware the Russian Bear

(ニコライ二世)
帰れよフランツ・ヨーゼフ、セルビアは我らが同胞だ
同じ血統、同じ信仰、同じスラヴ人の気質のもとにあるのだ
我らは軍隊を送りだしたぞ、お前のサラミよりも大きいやつな
大げさにして、うろつくのを止めるんだな
悩ましきコサック軍が動き出したぞ
先頃お前が革命を始めた時、私は散々骨を折った
今、私が下した判断はお前の崩壊だ
気をつけろよ、ロシアの熊にはな

(セルビアには同じスラヴ系国家のロシアが支援につくことになります。the Cossack pain trainをなんと訳したらいいのか分からなかったのですが、pain trainで悩みの種というのを指すらしく、オーストリア・ハンガリー帝国を苦しめるだろうロシア帝国の半農武装集団、コサック軍が動き出したことを指している、と解釈しました。ニコライ二世が苦労した革命とは、オーストリアにおいてハンガリーが独立を主張した1848年革命(三月革命)のこと。この年革命によって精神疾患に陥ったフェルディナンド一世に代わって戴冠したのがこのフランツ・ヨーゼフ。ハンガリー軍を鎮圧するためにオーストリアが応援を求めたのがロシアでした。昨日の友は今日の敵ってことだなあ…)

[Kaiser Wilhelm II]
Everyone knows me, ja?
The Kaiser, ja? Coo-ee!

(ヴィルヘルム二世〔ドイツ帝国皇帝〕)
皆さん私をご存じ?
どこの皇帝でしょう?クーイー!

[Verse 5: Kaiser Wilhelm II]
I'm Kaiser Wilhelm II, the first was a gas
But like the Godfather, the sequel kicks ass
Got clowns to the west of me and jokers to the east
But Austro-Hungary's my mate
Gonna eradicate the Serbian beast
So back off Cousin Nick, don't take the mick
And tell your mates France not to interfere
This ain't no prance, it's a German war dance!

(ヴィルヘルム二世)
私が皇帝ヴィルヘルム二世だ、一世は偉大な人物だった
だがゴッドファーザーのように、その成果を凌駕してやるぞ
私の西にはピエロが、東にはジョーカーが
しかしオーストリア・ハンガリー帝国は私の友だ
セルビアの獣どもを根こそぎにしてやろう
退けよ、いとこ殿のニック、ばかにしてくれるなよ
お仲間のフランスに伝えとけ、じゃまするなよと
これは跳ねまわっているんじゃないぞ、ゲルマンの戦の踊りだ!

(オーストリア・ハンガリー帝国の盟友ドイツの皇帝、ヴィルヘルム二世の登場。彼は大英帝国のヴィクトリア女王の孫であり[母ヴィクトリア皇后がヴィクトリア女王の娘]、ロシアのニコライ二世は、ヴィクトリア女王の孫アレクサンドラ・フョードロヴナを妃に迎えています。後に登場する大英帝国のジョージ五世はヴィクトリア女王の孫[父エドワード七世が彼女の息子]としてヴィルヘルム二世のいとこにあたります。またジョージ五世の母[デンマーク王の娘のアレクサンドラ]とニコライ二世の母[マリア・フョードロヴナ]が姉妹であり、二人もいとこ関係にあります。したがってヴィルヘルム二世とニコライ二世は、ジョージ五世を介した又従兄にあたるようです。)

[Verse 6: King George V]
Chill out cousin Willy, stop acting so silly
You be tripping by flipping the bird willy-nilly
The armies of the triple entente ― mighty
Russia, France, and this bitch ― Blighty
Your rhymes are a shambles, your words are a gamble
You're taking an enormous punt
No wonder my homies and yours too
Think you're a massive... difficult chap
Your territorial ambition puts us in this position
So go ahead, cuz, rant and rave
Your plans will be sunk like your floating junk
Royal Britannia rules the waves

(ジョージ5世[大英帝国国王])
落ちつけよ、いとこのウィリー、ばかばかしいことは止めたまえ
こいつはキレるんだよ、中指を立てただけでも、何が何でもな
三国協商の軍は―強力だ
ロシア、フランス、この下僕―イギリス
お前の韻はもたついていて、その言葉は博打だ
お前はとんでもない賭けに出ているんだぞ
疑いないぞ、私の友にとっても、君の友にとってもな
君が偉大に?…想像しがたいな、おい
お前の領土拡大の野望が私達をこの戦争へと導いた
好きにしろよ、いとこ殿、わめくなり、怒鳴るなり
お前の計画は水の泡に帰すだろうよ、海に浮いてるゴミのようにな
大英帝国は波をも支配するのだ!

(三国協商〔ロシア、フランス、イギリス〕、なんという懐かしい響き
フランスが一言も発さず後ろで控えているのが何とも言えないです。)


[Verse 7: Kaiser Wilhelm II]
Empire braggarts, you hate the French
And their snail-sucking, frog-cooking garlic stench
As for your dreadnoughts, wave them goodbye
I'll make your navy into gravy for sauerkraut pie
Gonna send my thugs through Belgium into France
Nothing can stop this Teutonic advance
Germany will rise again like the past
A glorious empire built to last
Let me tell you, this ain't no mystery
Wilhelm the Great will go down in history!

(ヴィルヘルム二世)
自慢屋の大英帝国め、お前はフランスが嫌いだろう
あいつらがカタツムリをすすり、カエルを料理する様も、酷くニンニク臭いからな
お前のドレッドノートと言えば、波がさらって行ってしまったな
お前んところの海軍をグレービーソースにしてやるよ、ザワークラウト・パイのな!
暗殺団を送ってやるよ、ベルギーを通してフランスに
誰も止められやしないのだ、このチュートン人の進軍を!
ゲルマン人は再び立ちあがるだろう、かつてのように!
栄光なる帝国は有り続けるのだ
教えてやろう、なにも不思議ではないのだ
ヴィルヘルム・ザ・グレイトが歴史に名を刻むだろうことは!

(ドレッドノートとはイギリスの超弩級の船艦のこと。ドイツ軍のベルギーを介したフランスへの進行は、結局阻止されたマルヌの戦いのことを示唆しているのでしょう。)

[Verse 8: King George V]
Wilhelm the Great? More like Billy no mates
Your ideas are absurd, we gave Belgium our word
We've got no choice if you won't behave
Our poor old grandma must be spinning in her grave

(ジョージ五世)
ヴィルヘルム・ザ・グレイト?正しくはぼっちのビリーだろ
けったいな事考えやがって、私達はベルギーに宣誓しているのだ
選択肢など与えないぞ、おまえがそうしたくてもな
かわいそうな我らがばあや、墓で浮かばれない思いだろうよ

(オーストリアしか盟友がいなかったことをいとこたちに揶揄されるヴィルヘルム二世、可哀そう。)

[Tsar Nicholas II, Kaiser Wilhelm II and King George V]
Granny!

(ニコライ二世、ヴィルヘルム二世、ジョージ五世)
おばあさま!

(イギリスのヴィクトリア女王のこと。)

[Verse 8: Kaiser Wihelm II]
Look into my eyes! You see compromise?
Your collective demise will see our rise!
I can't back down now, I'll look a clown now
Ain't shit that can stop this countdown now!

(ヴィルヘルム二世)
私の眼を見ろ!譲歩すると思うか?
君達の終わりが私達に名声をもたらすのだ!
もう後戻りはできない、私は今やピエロとなるだろうよ
このカウントダウンを止められるほどクソではないのだ

[Kaiser Wilhelm II]
I'm going for a lie down now

(ヴィルヘルム二世)
いまから少し横になるわ

(第一次世界大戦はヴィルヘルム二世が植民地拡大の野望の下、イギリス、ロシアなどの帝国主義国家との溝を深めたことが原因だったと言われます。やけくそになった後の最後の一言がそれかって感じですが韻を重んじた結果でしょうか〔訳文が間違っているのかな〕)




BBCの子供向けチャンネルCBBCの、コメディータッチで歴史寸劇を繰り広げる番組“Horrible Histories(酷い歴史)”でもヴィルヘルム二世、ジョージ五世、ニコライ二世のいとこ組みが取り上げられ、こちらでは陽気に歌をうたっています。なんだかこっちでも嫌われているヴィルヘルム二世。ジョージ五世とニコライ二世が双子のようにそっくりだったことにも言及されています。
そしてこちらでは1918年のロシア二月革命で処刑されるニコライ二世の運命が示唆されてなんとも切ない…イギリスに亡命させてくれと彼に助けを求められたジョージ五世は革命がイギリスに波及することを恐れて、援助しなかったとのこと。歌の中でこれをジョージ五世が悔いていて、ニコライ二世が「死刑“Execution”!」ジョージ五世「!?」ニコライ二世「Ugh」という一連のやりとりが面白い。これが子供向け番組とは、イギリスの子供たち恵まれているな…


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